お嬢様になって花と散る

過去に「心にお姫様を宿すと自己肯定感が増す」みたいな自己啓発があったのをご存知でしょうか。詳細は語りませんが、「心のお姫様に対して丁寧に対応する=自分に対して丁寧になる」ことで粗末にしがちな自分を大切にしてあげることができる、といったものです。結構流行った印象なので「懐かしいな」「今もそれやってるよ」という人もいると思います。私もそれに近いことをしています。

しかし、私は心にお姫様などおりません。そうです。私がお嬢様です。

まず、何故「お姫様」ではなく「お嬢様」なのか。これは大切なことです。私がなりたいのは家柄の良いお嬢様であり王族、皇族ではないからです。王族、皇族には公務や慈善事業、海外訪問(そのためのコミュニケーション能力や言語能力の習得)などの仕事があり、「お姫様」にも求められる場面があります。また、特別な存在故に様々な出来事についてずっと管理、報道されています。私のなりたい存在はそんな大それたものではありません。紅茶を飲んで「おほほ」と笑いたいだけなのです。

しかしお嬢様は一般市民と同列ではいけません。周囲の手本になる存在にならねばなりません。清く、正しく、美しく。お嬢様はお嬢様としてあるべき姿で生きる必要があるのです。と、言っても毎日「清く、正しく、美しく」なんてやっていられません。毎日やれているのは宝塚歌劇団の方かお嬢様くらいなものです。いや、そうかは分かりませんが、少なくとも私は毎日「清く、正しく、美しく」なんてできないのです。

ということでお嬢様DAYを作って遊ぼう!が今回のお伝えしたいことになります。①~⑩項目にまとめました。

①事前にお嬢様DAYを決めよう:お嬢様DAYは目が覚めた時からお嬢様です。充実した一日を過ごすためにも事前に日程を決めておきましょう。振る舞いがお嬢様になるので職場に迷惑のかからない休日にやりましょう。可能であれば前日は早めに眠りにつきましょう。睡眠不足のお嬢様なんて言語道断です。お嬢様を完璧にこなすためにも事前の準備をしておくことが大事です。

②お嬢様は朝の挨拶から:「おはようございます」この言葉は魔法の言葉です。楽しい仲間が……とかそういうわけではなく、頭がシャキッとするからです。普段から使いこなしている方もいると思います。お嬢様も朝から気怠げなのはいただけないですよね。是非、朝の挨拶をしてみましょう。相手は家族でも、恋人でも、太陽でも、妖精でもいいのです。とにかく声を出す。これが基本です。

③お嬢様はグラス、カップで飲み物を飲む:「お姫様」の方でも言われていることですが、お嬢様はペットボトル飲料をそのまま口付けて飲みません。品がないですし、そもそもペットボトル飲料を飲むのか、というところもあります。可能であれば自分でお茶やコーヒーなどを用意してグラスやカップで飲みましょう。この時用にとっておきのものを見繕ってもいいですね。どうしてもジュースが飲みたい場合は珍しいものや少し上等なものを調達しておくことをオススメします。

④お嬢様は朝食を食べる:言い切ってしまいますが、お嬢様は朝食をとる派です。いつもは食べない派の方もこの日ばかりは食べてください。朝の挨拶もそうですが、朝から十分に動ける体になるには朝食をとる方が良いです。科学的根拠は私には分かりませんが、朝食をとるという動作が目を覚ましてくれる気がしています。いつもは家族に作ってもらっている場合でも可能なら自分で用意しましょう。理由はお嬢様っぽい朝食を用意できるのは自分だけだからです。どんなのがお嬢様っぽい朝食かは人それぞれですが私ならカットフルーツと無糖のヨーグルト、温かいハーブティとかでしょうか。和定食やパンケーキもお嬢様っぽいですね。こちらも食器をこだわるとより楽しめると思います。

⑤お嬢様は綺麗好き:お嬢様は自分の部屋が綺麗なのが当たり前ですよね。ということで朝食の後は掃除と洗濯をしていきましょう。「え!?お嬢様は何もしなくていいんじゃないの!?」と思った方、大間違いです。貴方の家にお手伝いさんがいるなら別ですが、基本的にはいない家庭の方が多いのではと思います。では誰が部屋を綺麗にするか、洗濯をするか。……そう、お嬢様は周囲の手本なんです。「お母さんがやってくれるからいいや!」「明日の自分がやるからいいや!」駄目です。一般市民に何をやらせるおつもりですか。お嬢様なら率先してやるものです。朝から早々に辛いとは思いますが嫌がらず掃除や洗濯をしていきましょう。そうやって綺麗にすることで自分がお嬢様の振る舞いをしても恥ずかしくない部屋になっていきます。どんなに「おほほ」と言っていても(今日掃除機かけてねぇや……)なんて考えてたら楽しめないですからね。しかし無理のない範囲で。疲れる前にここまで、と辞められる精神もお嬢様に求められているのです。(やり始めたからには完璧に綺麗になるまで頑張っちゃうという人は残念ながら手本になりません)

⑥お嬢様は余白を楽しむ:朝から掃除やら洗濯やらをさせられたお嬢様の次に待ち受けているのは「余白」です。簡単に言うと「今日は何をいたしましょうか」を楽しむ、です。実は前日に決めていてもいいのですが、すぐ次に移るのではなく「どうしようかしら」という余裕ありますよ感を楽しむのです。例えば事前に観たい映画があってそれを観に行くつもりだったとします。掃除して支度して準備万端、しかしそこでいきなり映画館へ行くのではなくカフェに立ち寄るのです。「今日はどうしようかしら。美術館へ行こうかしら。水族館もいいわね。そういえば観たい映画があったわ……」なんてロールプレイを脳内(もしくは口頭)で行います。そして優雅に飲み物を一口。そう、このために、この「おほほ」のために朝のあれそれがあったのです!「それなら掃除する意味あった?」あります!家で読書の予定だったらどうするんですか。カフェの最中に(今日掃除機かけてねぇや……)が発動したらどうするんですか。お嬢様が余白を楽しめるのは事前にやることを済ませているからなんですよ。

⑦お嬢様らしく過ごす:この後のお嬢様が何をしようが基本的には自由ですが、折角なのでこの日はお嬢様らしい振る舞いとともにお嬢様らしく過ごしていただきたいと思います。「お嬢様らしいとは?」私が言わなくても貴方は分かっているはずです。貴方の中の「お嬢様」がどこでどんな姿で何をするお方なのか。例えば家で映画は観てもショート動画は観ない。よれよれのTシャツは着ない。植物園へ行くときは帽子を被る。などなどなど。貴方にとってお嬢様とはどんな存在なのか、それをよく考えた上で行動してください。そうでなければ貴方のお嬢様は汚れます。

⑧昼食、夕食または間食を贅沢に:家庭の都合もあると思うのでどれか任意でかまいません。どれも行わない、というのも選択のひとつだと思います。ただ、普段より特別な食事というのは思っているより気持ちが満たされるものです。誕生日や記念日で食事が立派になるのがその例ですね。普段はお嬢様じゃない貴方が折角お嬢様になった特別な日なので少しでも豪華な食事にするのはとても素晴らしい経験になると思います。上級者になってきたら逆に庶民の食べ物を食べるというロールプレイも楽しいのでファストフードやラーメン屋に行ってみてください。「これが、ラーメン……!」

⑨お嬢様はお風呂も贅沢に:しっかり充実したお嬢様はお風呂も贅沢な時間を過ごさねばなりません。入浴剤、好きな匂いで効能もいいのにしちゃいましょう。シャンプーやボディーソープなどもちょっとお高めのやつを用意するといいかもしれません。お試しサイズが存在する場合もあるので挑戦してみてください。ヘアケアやらボディケアやらフェイスパックやらてんこ盛りに自分の髪と体を接待したら水分補給も忘れずに。あ、今ミネラルウォーターをペットボトルから直飲みしようとしましたね?駄目ですよ。ちゃんとグラスに移して飲みましょう。

⑩睡眠前までお嬢様であれ:お嬢様、寝る時まで油断はできません。ゆったりとハーブティをいただいて、歯を磨いて寝る準備して。忘れてはいけないのが挨拶です。一日は挨拶に始まり挨拶に終わります。朝は元気に挨拶しておいて寝るときなんも言わへんのかい!と思われてはいけません。家族でも、恋人でも、太陽でも、妖精でも、朝の挨拶をした方にはおやすみの挨拶もしっかりしましょう。そうしないと何が起きるのか。まず、寝てないと思われて声をかけられます。というのは半分冗談ですが、相手や自分の中でけじめになります。相手と喋り続けてしまったりSNSを見たり動画を見たりとだらだら起きてしまうことが減ります。なので、「おやすみなさい」と声をかけることで自分は寝るんだ、と切り替えるようにしてください。

さて、充実したお嬢様DAYを過ごすことができそうでしょうか。私の場合は朝の挨拶から掃除まででテンションがハイになるので余白を楽しんでいるときには完全なお嬢様になりきって過ごしています。家族と一緒に過ごすときは流石に表向き普段通りにしてますが脳内のロールプレイは楽しくてしょうがないです。

全部実践するのは難しいという方はどれか一つだけでもお嬢様体験してみてください。やりやすいのは「⑥お嬢様は余白を楽しむ」「⑨お嬢様はお風呂も贅沢に」ではないでしょうか。是非お嬢様になりきって「おほほ」と笑ってくださいね。